増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
4.先天異常
(2)尿管
下大静脈後尿管
内藤 克輔
1
,
内山 浩一
1
,
馬場 良和
2
Katsusuke Naito
1
1山口大学医学部泌尿器科
2周東総合病院泌尿器科
pp.225-227
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902594
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1 はじめに
本症は尿管が下大静脈後方を迂回して走行するために泌尿器科学的には解剖学的位置関係より下大静脈後尿管と呼ばれ,尿管の発生異常が原因のように考えられがちであるが,本来は下大静脈の胎生期での発生異常に基づくものである(図1)1)。胎生期における後基本静脈(posterior cardinal vein)および上基本静脈(supracardinal vein)は尿管より後方に,下基本静脈(subcardinal vein)は前方に位置する。下大静脈の腎より下部の部分は尿管の後方にある上基本静脈より発達する。通常,左上基本静脈および右後基本静脈の腰部部分は退縮し,下基本静脈は内精静脈となる。右側に位置する下大静脈は右上基本静脈より形成される。もし,右下基本静脈の腰部部分が退縮しないで下大静脈に発達すると,右尿管は下大静脈の後方を横断した後,下大静脈の前面に達し,その後,膀胱に到達することになる。
本症は臨床的に2つの型に分類される2)。
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