文献抄録
女子尿道癌について
pp.218
発行日 1974年3月20日
Published Date 1974/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201776
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女子尿道癌は稀な疾患であるが,著者は1940年より1970年までに16名を経験して,その治験を報告すると共に,治療について言及している。
尿道癌は尿道の前1/3に発生するものと,尿道後方に発生して膀胱へ浸潤するものと大きく2つに分けて考えられるが,両者のリンパ節転移の様子と,治療の予後は異なるといえる。著者の症例16名では10例が前部で,6例が後方尿道癌であつた。腫瘍の組織像は扁平上皮癌9例,腺癌3例,移行上皮癌2例,未分化癌2例で,扁平上皮癌が56.2%で従来の報告同様最も多かつた。著者の症例中にはカルンクルスとの共存例はみられなかつたが,Monaco (1958)らは16%に共存例を報告している。しかし,両者の関連については明確な見解はない。女子尿道癌の症状は血尿が最も多く,ついで頻尿,排尿困難,尿道部痛などが主症状である。男子では尿道腫瘍による狭窄症は普通であるが,著者例では16例中1例に尿道狭窄症で尿道拡張術を約1年にわたつてうけた症例があり,女子では癌による排尿困難は少ないといえる。
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