泌尿器科圖譜・4
非過剩尿管膀胱開口例
井田 正文
1
1慶大
pp.341
発行日 1951年8月1日
Published Date 1951/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200553
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尿管の膀胱外開口症例は歐米に於てはSchwarz Thom,Gloorの報告を始めとして已に300餘例の報告があるが本邦に於ても高橋,市川兩氏の報告以來35例の報告がある。余は最近非過剩尿管膀胱外開口の1例を經驗した。患者は尿失禁を主訴とする4年2カ月の女兒で,靜脈性ピエロクラムによると,左腎尿管は正常と思われるが,腎該當部に,腎盂像を認めず,第3腰椎横突起の直下部に大豆倍大及大豆大の中央に狹窄部のある影像が見られ,尿管の走行に一致して小骨盤内に左尿管に比して太き淡き影像を認める(第1圖)而して排尿とは無關係に,膣より透明藁黄色の排出が認められ,インヂゴカルミン靜注後15分にして該尿は淡青色に染色される。而も膀胱鏡檢査に於て本尿管上部に淺い陥沒は認められるが骨排出なく,カテーテルの挿入も不可能である。それで右腎は發育不全にして而もその非過剩尿管は膣に開口しているものと診斷した。
摘出せる右(第2圖)は,3.4gr 1.6×2.8×1.4cm腎門の形成なく,2本の血管及び,薄膜により腹膜に粗に附着せる,發育不全變位腎である。本症はThomの第1型に屬し,本邦非過剩尿管膀胱外開日第17例目に當る。
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