扉
“Controversial”
鈴木 重晴
1
1弘前大学医学部脳神経外科
pp.1068-1069
発行日 1999年12月10日
Published Date 1999/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901814
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たとえば深部脳動脈瘤手術のアプローチや脳血管攣縮の病態考察及び治療法など,一つ脳神経外科領域だけに限っても異論が多く論争の的とされる問題は多い.こういった異論の生じる原因には,問題の実態が充分解明されていないこともあるが,論じる人の立場即ち研究上の視点の相違,各自の研究結果及び経験の多寡による場合も少なくない.しかし,医学上の異論にはその根底に「病を治す」という共通の目標が存在するため,如何に白熱した論争が交わされようとも決して度を越す程の感情移入までには至らないのが一般的のようである.
一方,人間の社会生活においては異論に満ちた問題は枚挙に暇がない程多い.そして,これらの場合には名誉,財産,宗教,政治さらには個々の人間にとって究極の課題ともいえる生命自体にも及ぶものもあり,論争の程度は軽重両極端に及び,最悪の場合には殺人や戦争などといった事態にまで至ることも稀ではない.
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