Japanese
English
解剖を中心とした脳神経手術手技
Meniere病に伴う難治性重症めまいに対する前庭神経切截術
Vestibular Nerve Section for Medically Uncontrollable Vertigo with Meniere's Disease
甲村 英二
1
,
久保 武
2
,
早川 徹
1
Eiji KOHMURA
1
,
Takeshi KUBO
2
,
Toru HAYAKAWA
1
1大阪大学脳神経外科
2大阪大学耳鼻咽喉科
1Department of Neurosurgery, Osaka University Medical School
2Department of Otorhinolaryngology, Osaka University Medical School
キーワード:
Meniere's disease
,
Vertigo
,
Vestibular nerve section
Keyword:
Meniere's disease
,
Vertigo
,
Vestibular nerve section
pp.767-772
発行日 1995年9月10日
Published Date 1995/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901077
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
歴史的には,第Ⅷ神経の切截術は20世紀初頭に脳外科医により後頭蓋窩経由で開始された.Meniere病の症状改善のためにFrazier2)が実施し,McKenzie9),Dandy1)がこれに続いた.McKenzie9)は選択的な前庭神経切断術(第Ⅷ神経上半部の切除)を公表している.当時の成績としては,めまい発作のコントロールは良好であったが顔面神経麻痺,聴力障害の合併などのため4),その後は本手術は余り実施されなかった.選択的第Ⅷ神経切截術の特長は聴覚を保存してめまい発作のコントロールが可能な点にある.手術用顕微鏡の導入後にこの特長を生かすことが可能となり,1960年代より主に耳鼻科医によって中頭蓋窩経由の前庭神経切断術が行われ,良好な成績が示された5).また1978年よりSilversteinは,合併症をより減じるためにretrolabyrin—thine approachによる前庭神経切断を実施している13).最近はアプローチはさらに後方へと移動し,retrosig—moid approachにより行われるようになっている15,17).
Meniere病を中心とした内耳疾患にもとづくめまいのうちで,内科的療法によりコントロール不能な症例に対してわれわれの行っている手術を解剖を中心として解説する.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.