扉
桜の季節に思うこと
関野 宏明
1
1聖マリアンナ医科大学第2外科
pp.729-730
発行日 1992年7月10日
Published Date 1992/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900485
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今年も3月下旬に上陸した桜前線は今も東北地方を北上中であり,毎晩のように全国の桜の銘木,名所がテレビで放映されている.また,この季節は桜前線に先だってすでに日本中でサクラの花が咲いたり,散ったりする入学試験合格発表の季節でもある.私も「サクラチル」と「サクラサク」の両方の電報を受け取った経験があるが,どうゆうわけか「散った」ほうの記憶しかない.また,受験準備に追われた日々のことも定かでなくなった.
さて,選抜される側から選抜する側になってみると大学,とくに医学部の入学試験の合格基準とは何かを考えさせられる.そもそもある大学の医学教育がどの様な目標をもっているか,すなわち優秀な医学者を育成するのか,良き臨床医を育てるのかによっても異なるであろう.もっとも両極端は別として医学者と臨床医を明確に分けることはむずかしいし,また分けるのは意味が無いという意見もあろうが,現実にはいずれかに市点が置かれているのが現状ではないであろうか.多くの私立医科大学ではその建学の理念にそった臨床医を育てることを目的としていると理解しているが,そうなるとまた良い臨床医とはなにかという問題に突き当たる.
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