書評
—日本頭痛学会「慢性頭痛の診療ガイドライン市民版」作成小委員会:編—慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版
大生 定義
1,2
1立教大学社会学部
2立教学院診療所
pp.529
発行日 2015年6月10日
Published Date 2015/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203065
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●頭痛診療をスキルアップしたい非専門医にも役立つ
日本頭痛学会「慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版」作成小委員会(委員長:立岡良久先生)編集による『慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版』が医学書院より上梓された.これは同学会と日本神経学会が共同でまとめた,頭痛診療医向けの『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』を患者向けに要約・編集したもので,本来の出版目的は患者への啓発用にということであろう.この目的には大変有用であり,患者が個人で読み,理解するには役立つであろうし,さらに診察室内での説明用,待合室に備えつけとしても使える本である.しかし,あらためて読ませていただくと,患者のみならず,頭痛診療を見直し,スキルアップを考えている非専門医にも役立つ内容にもなっており,この点の活用も十分重要と思われ,患者・医師両者に向けてご推薦したいと思い筆を執った.
本書の特徴は第1に記述が簡潔で簡単明瞭である.テーマに対する答えが短く,時間がない時も一瞥するだけで答えが得られる.第2にはサイドメモが充実している.ここで頭痛のバリエーションやさらなる情報の入手先がわかる.第3にあくまでも質問から出発している構成になっていることである.医師であれば,すぐに読了できる量と内容である.第4に『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』以後に発表された,最新の頭痛分類(国際頭痛分類 第3版beta版)に準拠していることである.
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