扉
遠く離れて思うこと
千ケ崎 裕夫
1
1防衛医科大学校脳神経外科
pp.1451-1452
発行日 1981年12月10日
Published Date 1981/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436201436
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国際学会に出席することは,学術的意義も大きいと思うが,平生は年に1度のクリスマスカードを交換する程度の消息しかわからない遠い国の旧友に偶然あえて,旧交を暖めあうという喜びもまた格別楽しいものである.先にミュンヘンで行われた国際脳神経外科学会でも,15年ぶりに昔,私がOxfordにいた頃,家族ぐるみのつき合いをしていた同僚の1人が休暇をかねて奥さんや子供さんと一緒にみえており,懐しい昔話に話がはずんだ.
彼はその頃,卒後数年で一般外科の試験もパスし,いよいよ脳神経外科医としての一歩を歩み始めたばかりであり,私も初めて外国にでて言葉の不自由もあり,習慣の違いもあり,四苦八苦していた頃のことで,お互いに励ましあったり助けあったり,あるいは将来を論じあったりして,所謂同じ窯の飯を食ったという同僚意識が今でもわれわれの友情を強く結びつけている.もちろん,彼も今は立派な一人前の脳神経外科医として成長して,イギリス南西部の大都市Bristolの脳外科クリニークのconsultant(部長)として,イギリスの脳外科の中の若手のホープと期待されている1人である.その他の当時の同僚の消息をきいてみると,それぞれLiverpool,Birmingham,Manchester,Londonなど,大都市の有数の脳外科のクリニークでconsultantとして元気に活躍しているとのこと.
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