書評
『小児科学(第3版)』―大関 武彦,近藤 直実●総編集 内山 聖,杉本 徹,田澤 雄作,田村 正徳,原田 研介,福嶋 義光,松石 豊次郎,山口 清次,脇口 宏●編
澤田 淳
1
1京都府立医科大学名誉教授・小児科学
pp.63
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100874
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『小児科学第3版』は1,924ページの分厚い教科書です.私も編集を担当した初版(1997年発行)の1,680ページに比べ,約13%増え,執筆者も204名から350名に増えており,専門性が高められ,充実した内容の本になっています.執筆者は第一線の小児科開業医から大学医学部小児科学の臨床系教授のほか,社会学系,栄養学系,リハビリ関連,行政職の方まで,幅広く,深く専門性が高められています.世界的に有名な英文の小児科学教科書,通称『ネルソン小児科学』(Nelson's TEXTBOOK OF PEDIATRICS)に内容的には匹敵する教科書です.医学生にはちょっと重いけれど,研修医,修練医(後期研修医)には小児科全般の知識の詰まった宝石箱として,小児科専門医には,新知見を習得できる必読の書として座右に置いてほしいと思います.小児科以外の専門医には,自分の専門分野の知識と比較しながら小児科全般の知識の取得に役立てていただけるでしょう.また,学生時代に勉強したことがどのように変化してきたかを知るための百科事典的利用にも役立つでしょう.新しい疾患概念,病態の新知見,診断技術・治療の進歩を教えてくれ,学ぶことができます.きっと,時代とともに変化するスピードに驚かれることと思います.
第3版では巻頭に16ページのカラーグラフがあり,代表的な疾患を目で見つけることができるようになるかもしれません.目次は27章に分かれ,初版の38章から一見縮小されたように見えますが,知識の分散を避け,うまくまとめられた結果と思われます.
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