Japanese
English
総説
悪性脳腫瘍における血液腫瘍関門
Blood-Tumor Barrier in Malignant Brain Tumor
林 康彦
1
,
吉田 優也
1
,
濱田 潤一郎
1
Yasuhiko HAYASHI
1
,
Yuya YOSHIDA
1
,
Jun-ichiro HAMADA
1
1金沢大学大学院医学系研究科脳医科学専攻脳病態医学講座脳機能制御学
1Department of Neurosurgery,Division of Neuroscience,Kanazawa Graduate School of Medical Science,Kanazawa University
キーワード:
blood-brain barrier
,
blood-tumor barrier
,
in vitro model
,
vascular endothelial growth factor
,
aquaporin
,
P-glycoprotein
,
malignant brain tumor
Keyword:
blood-brain barrier
,
blood-tumor barrier
,
in vitro model
,
vascular endothelial growth factor
,
aquaporin
,
P-glycoprotein
,
malignant brain tumor
pp.983-999
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100288
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Ⅰ.は じ め に
脳はその特殊環境を維持するために,体内循環との境界である血管壁に“血液脳関門”と呼ばれる特殊性を有していることは古くからの周知の事実である.血液脳関門とは,正確には脳の恒常性を保つため血管内皮細胞に備わった機能的かつ構造的な特異形質を意味する67,71).血液脳関門の機能は次の3つに要約することができる.①脳内環境を血液のものと隔離すること,②神経細胞やグリアの機能を維持するために必要な多種多様の物質を選択的かつ能動的に取り込むこと,③血液または脳内で産生された物質の代謝もしくは修飾すること,である4,8,71).ところが,悪性脳腫瘍においてはその腫瘍血管の機能および構造が正常血管の血液脳関門とは異なる血管内皮細胞の性質を有しているため,脳浮腫などの正常脳とは異なった現象を引き起こして臨床症状を悪化させる大きな原因となっていることも,多くの研究結果がそれを裏付けている12,18,19).そこで,これらの歴史を振り返りながら,現状に関して私見も交え以下に総括する.
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