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特集 脳とホルモン
性ステロイドに対するニューロンの可塑性—脳の性分化と生後の神経回路形成の調節
Gonadal control of neuronal plasticity and synaptogenesis in the neuroendocrine brain—Brain sexual differentiation and neural circuit formation.
新井 康允
1
Yasumasa ARAI
1
1順天堂大学第二解剖学教室
1Department of Anatomy, Juntendo University School of Medicine
pp.140-149
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906270
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最近,視床下部や大脳辺縁系などの脳の特定の部位に形態的雌雄差があることが判明した。そのほとんどは,性ステロイドの受容体に富む部位であり,性ステロイドが周生期にこれらの部位に働いて性分化を誘起すると考えられている。
脳の機能をみると,いろいろなレベルで性差が認められる。性行動のパターンや攻撃行動などの雌雄差は最もはっきりしたものの例といえる。また,下垂体のゴナドトロピンの分泌パターンも雌雄で異なるものが多く,ヒトを含む哺乳類の多くでは,雌ではゴナドトロピンが周期的に大量に分泌され,それが卵巣に働いて周期的に排卵が起こり,性周期を示すのに対して,雄ではゴナドトロピンの分泌には周期性が認められない。下垂体のゴナドトロピンの分泌の神経内分泌調節機構に性差があるわけである。
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