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I.はじめに
周知のように,てんかんは脳神経細胞の過剰興奮に由来する発作を主徴とし,しかも発作が繰り返し起こる病気である。なかでも,発作の抑制が困難なだけでなく,発作間歇期における知能障害や脳障害による諸症状が進行してゆくいわゆる難治性てんかんについては,その病態の解明と新しい治療手段の開発が急務とされている。この難治性てんかんには,小児ではLennox症候群が,成人では部分発作,とくに複雑部分発作と部分起始性の全般性強直間代性けいれんの多くが該当するとされている50)。このうち,部分発作の疾患モデルとしてキンドリングモデルが位置づけられており,とくに扁桃核キンドリングは複雑部分発作の実験モデルとされているので,今回はこのモデルによる知見を中心に述べたい。
近年のてんかんの生化学的研究は,化学的神経伝達にかかわる多くの物質について行なわれてきた。その間の研究の動向と研究成果の概略は,森によって別項に総説されているのでそれを参照されたい。とりわけ,モノアミンやアセチルコリンを含むいわゆる古典的神経伝達物質については多くの研究があり,それらの変化は発作の発現といった瞬時の変化に関与しているようである。しかし,臨床診断でなされるどのような発作型のてんかんの,どの病態に関係しているのかという点では,まだ一致した見解が得られていない。
Abstract
Recent evidences were reviewed to evaluate possible roles of GABA, TRH and other neuropeptides in kindling model of epilepsy, which has been regarded as an experimental model for partial seizure with secondarily generalized convulsion in human epilepsy.
Pharmacological studies using systemic admin-istration of GABA agonists and antagonists suggest that GABA exerts inhibitory action on a triggering mechanism for kindled amygdaloid seizure, but no significant action on kindling seizure development.
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