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はじめに
1960年,Lennox7)は,その豊富な臨床経験をもとに,てんかんの臨床に関する包括的な著述を著わした。てんかんの臨床・疫学についての研究報告は,その後も,さまざまな国,地域から発麦されており,てんかんの実態に関する解明の試みが続けられてきている。なかでも,最近のHauserら(1975)4)のRochesterにおける研究は詳細であり,注目すべきものであろう。ところで,わが国においては,1964年に和田15)が1,500例のてんかん患者の臨床と脳波所見の詳細について報告しているが,その後,これに比肩しうる臨床研究の報告は見られない。
最近,わが国において,著者の一人大熊が中心となって,てんかんの予後に関する多施設共同研究が行なわれ10,11),さらに,それは熊代を代表者とする科研費研究に引き継がれた。いうまでもなく,この研究の目的はてんかんの予後に関するものではあるが,予後の研究のためには,予後に関わる臨床・脳波の諸因子の検討が必要である。したがって,この研究においても,さまざまな臨床因子や脳波所見が細かく調査された。その結果,本研究の対象として集められた症例数がかなり多いこと,わが国の各地区から集められた症例であり,一施設による資料よりも偏りが少ないと考えられることなどから,これがわが国におけるてんかん患者の臨床的諸特徴や脳波所見などを概観するうえで,貴重な情報を提供するものと思われる。
Abstract
A multiinstitutional study on prognosis of patients with epilepsy was performed, including 20 institutions. The number of cases in the study was 1868, and medical reports on them were sent from 17 institutions (10 psychiatry departments, 1 neurology, 3 neurosurgery and 3 pediatrics); there were 1,132 cases of departments of psychiatry and neurology, 418 of neurosurgery and 318 of pediatrics.
In this report, clinical and electroencephalographical features of the cases were statistically analysed. International classification of epileptic seizures (1970) was applied to the subjects.
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