Japanese
English
特集 失語症研究カンファレンス
人間の情報検索過程
On Information Retrieving Process in Man
印東 太郎
1
Taro Indow
1
1慶応義塾大学心理学研究室
1Department of Psychology, Keio University School of Medicine
pp.193-196
発行日 1971年6月30日
Published Date 1971/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904707
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母国語にせよ,外国語にせよ,人間が自由に言語を使用できるためには,非常に高度の情報検索(Information Retrieval,以下,略してIRと呼ぶ)機構が必要と考えなければならない。IRは,近時,電子計算機の利用技術にとつて一つの大きな問題であるが,人間の頭脳には,通常の場合,必要な瞬間に必要な言葉をぼう大な記憶のファイルの中からとり出し得る優秀なソフトウエアが内在しているはずである。こう考えると,失語症は,素人にとつて,このIR機構に何らかの障害を生じている場合のように思われる。言語そのものが失われ,記憶ファイルの中の語彙が縮少していることもあろうが,ファイルには存在する言葉を検索,摘出し得ないという場合もあるのであろう。そこで,正常人の言語のIRに関する若干の実験心理学的研究と,その心理過程に対する簡単なモデルについて述べ,御参考に供したいと思う。
以下,言語の検索,摘出過程として,二つの形を想定しよう。一つは走査(scanning)による検索で,もう一つは一対作成(Paarbildung)による摘出である。まず,前者に関する実験について述べる。
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