第3回神経病理懇話会 主題 脳腫瘍
開会のことば
猪瀬 正
1
1横浜市大神経科
pp.1-2
発行日 1963年1月25日
Published Date 1963/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901946
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ただいまから第3回神経病理懇話会を始めることに致します。本会が一昨年に誕生しましてから,益々隆盛の一途を辿つておりますことは,誠に慶賀の至りというほかございません。また,本日は,早朝からの開始にもかかわらず,かくも多数の皆様のおいでを頂きましたことは,世話役の私ども一同何にもかえ難い喜びでありまして,御協力に対しまして,心から感謝申上げる次第であります。
さて,本会の目的は,申すまでもなく,神経病理の育成と申しますか,わが国の神経病理学をその基礎から充分に鍛錬して,その上で,世界的な水準にまでもつて行こうということであります。これまでの会の内容を顧みますならば,年ごとに内容は充実し,標本は美しくなり,討論のレベルは向上しております。このことは,皆様とともに大いに誇り得ることと信じます。私は,昨年,ミュンヘンの国際神経病理学会に出席してまいりましたが,そのときの各国からの出題を見聞しまして,一段と,上に申しましたことを感じました。大いに自信をもつて,着実な努力を続けますならば,わが国の神経病理学はかならずや,世界のトップレベルに達することができるでありましよう。しかし,この向上のためには,容易ならぬ隆路が未だにわが国に厳存することも確かであります。その1つは,研究組織のことであります。また,それに関連したことでありますが,材料の生かした利用方法であります。
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