Japanese
English
原著
特異な所見を呈した汎発性硬化症の1例—汎発性硬化症の研究
Leukodystrophie von besonderer Art: Neuropathologische Studie eines Falls
石井 毅
1
,
横井 晋
2
Tsuyoshi Ishii
1
,
Susumu Yokoi
2
1都立梅丘病院
2都立松沢病院
1Umegaoka Irren-anstalt
2Matsuzawa Irren-anstalt
pp.723-733
発行日 1959年4月20日
Published Date 1959/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901704
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序
欧米に比較して,わが国に於いては多発性硬化症が少ないということは周知の事実であるが,近年内村,白木,森原の狂犬病予防接種後の精神神経障害の臨床病理学的研究によつて,その脱髄性病変が多発硬化症のそれに近似しているという報告以来,わが国に於いても多発硬化症に対する臨床的関心,またそれのみに止まらず脱髄疾患一般に対する関心が漸やく高まつて来ている。第3回国際神経病理学会に於いても,脱髄疾患の問題がとり上げられ,組織病理学,組織化学,生化学などの分野から,それぞれ多くの業績が各国の学者によつて発表されて,従来余り顧みられなかつた脳髄質に対する新しい知見が報告されている。とくに実験的な脱髄研究,生化学的分析,アイソトープの使用,新しい組織化学染色等の方法によつて,ここ数年来格段の進歩がもたらされ,従来の病理組織学的所見の解明に役立つている。わたくし達は数年前から汎発硬化症の病理組織学に関心をもち,たまたま集められた約10例の汎発硬化症の脳髄を検索中であるが,ここに発表する例はやや特異な所見を呈し,今後記載してゆこうと思ういずれの群にも属さないように思われるので,敢えてここに症例報告として発表する次第である。
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