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はじめに
生体には,心拍・呼吸や歩行のような比較的短周期のリズム,睡眠・覚醒およびそれに伴った体温やホルモン分泌などのサーカディアンリズムなど多数の周期現象が存在している。そして,それらのリズムに支配されている周期性運動のそれぞれは別個の機能的意義を有しており,たとえば歩行運動は獲物の獲得,外敵からの逃避のための移動手段であり,呼吸はガス交換により循環系と協調した血液ガスホメオスタシス達成のための手段である。生体リズムのほとんどは,運動の結果として生ずる周期性感覚情報を遮断してもリズムを持続することから,それらの基本的リズムは中枢性パターン発生器(central pattern generator, CPG)によって形成されていると推定されてきた16)。このようなリズム形成のための神経基盤は,悠久の生物進化の過程で生体が獲得してきた合目的機能実現のための絡繰りであり,その遺伝子プログラムは進化の早い段階ですでに確立していたと推測できる。
システム論的観点にたてば,生体システムは呼吸制御系,循環制御系,歩行制御系など複数のサブシステム群から構成された『個体の生命維持と種の保存』という合目的性実現のための膨大なシステムである。従来はこれらサブシステムのそれぞれに関して個別にシステム論的解析がなされ,サブシステムの動作やその神経機構に関する多大な業績が挙げられてきた28)。
Numerous studies have been performed to elucidate the rhythm generating mechanisms of respiration and of locomotion. However, there are relatively few studies on the interactions between respiratory and locomotor activities, especially on the locomotor-respiratory coupling of central origin. This study mainly focused on the locomotor-respiratory interaction and its functional significance. In addition, possible neural mechanisms responsible for such an interaction are discussed.
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