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I.はじめに
脳は,生理機能を維持するために大量にエネルギーを必要とする臓器である。したがって全身性の血液循環不全,脳への酸素供給の低下あるいは停止,神経細胞の生理機能を維持するための主たるエネルギー源であるグルコース供給の停止など,脳に低エネルギー状態,すなわち,いわゆる“低酸素状態”を来す病態11)は,脳のエネルギー代謝に重大な危機をもたらし,神経細胞の死を招くことは,容易に想像される。
一過性の心停止により,全脳虚血を来した臨床例における脳病変については,これまで多数の報告がある。一方,全身性に酸素供給のみが低下あるいは停止したことによる純粋な脳の低酸素状態では,それに引き続く全身の循環不全による乏血性病変が付加されてくるのが一般的である。そのためにこれまで低酸素による脳病変は,一般に虚血による脳病変と明確な区別なしに扱われてきた11,33)。またグルコース供給の停止によってもたらされる脳病変も,他の“低酸素状態”による脳病変ときわめて類似している30)ともいわれている。
So-called hypoxic brain damage has been authorized to be the same of the ischemic brain damage.
Our previous studies to human and experimental subjects on pure hypoxia and hypoglycemia re-vealed that each neuropathology of these conditions was different from that of ischemia. In this paper, we discussed the neuropathology of ischemia, pure hypoxia and hypoglycemia based on our studies. The results are summarized as follows.
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