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はじめに
11Cや18Fでラベルした漂識リガンドの脳内動態を解析することにより,直接ヒト脳におけるレセプターの分布やその結合特性を測定することが可能となってきた。レセプターのin vivo測定については,既に1970年代の半ばごろから,いくつかの報告がみられており,11Cなどのポジトロン核種を用いる体外計測法に関しても,フランスのComarらにより先駆的な研究が行なわれていたが,実際にPETを使ってヒトのドーパミンレセプターが画像化されたのは,1983年になってからである1)。その後〔表〕に示すように数多くの標識リガンドが開発され,実際に臨床レベルでの応用が可能な状態になっている。
種々の生体臓器の中で,脳は最も種差が著しい器官の一つであり,とくに言語機能や思考過程など,ヒトに固有であると考えられる現象については,ほとんど動物実験は不可能であるといっても過言ではない。また躁うつ病や精神分裂病などの各種疾患や痴呆についても,研究遂行上適切な動物実験モデルに乏しいのが実状である。したがって,非侵襲的にヒト脳の内部を探ることのできるPETは,これらの領域において重要な貢献をするものと期待されている。
In vivo mapping and quantitative analysis of various kinds of neuro-receptors in living human brain have been available by using positron emission tomography (PET). For the dopaminergic neuron, selective radioligands such as 11C-SCH 23390 for D1 receptors, 11C-raclopride and 11C-N-methylspiperone for D2 receptors and 11C-nomifensine for reuptake sites have been developed. In addition to such receptor studies, measurement of disposition of 11C or 18F labeled DOPA and binding of irreversible MAO inhibitors (11C-clorgyline and 11C-deprenyl) are also available.
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