現代における神経病理の意義―私の経験を踏まえて

Contemporary significance of neuropathology：My personal experience.

　本稿では，筆者がなぜ神経病理学を志したかを述べ，medulloblastomaの電顕的検索の例を挙げて，形態学とはどうあるべきかということを書き，現代においても神経病理の魅力と意義は半世紀前と不変であると結論する。

　筆者は1953年に渡米し，臨床神経学をresidentとして学んでいる間に，神経疾患の診断には正確な神経病理の裏付けがぜひとも必要であることを切実に感じ，神経病理学の世界の泰斗であるDr. Harry M. Zimmermanの門下に加えていただき，神経病理一筋の道をたどり続けてきた。そしていつの間にか半世紀の歳月が，夢のように流れていた^1）。