特集 都市のプライマリ・ケア—「見えにくい」を「見えやすく」
【セクション2】実践! 都市のプライマリ・ケア—4つの現場から
@教育
❽都市での卒後教育の実践と海外プログラムの紹介
八百 壮大
1
1JCHO横浜保土ケ谷中央病院 総合診療科
キーワード:
地域包括ケア
,
vulnerable population
,
street medicine
,
population health
Keyword:
地域包括ケア
,
vulnerable population
,
street medicine
,
population health
pp.927-931
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204402
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大都市のプライマリ・ケア教育の必要性
国際的なトレンドとして、人口の集中する大都市は、少子高齢化、グローバル化、健康格差という大きな社会課題に直面しています。徒歩30分圏内に約6,000人の人口が密集する当診療地区にも、第二次世界大戦後の経済成長期に移住してきた人々、国立大学の学生や教職員、留学生などの外国籍の人々らをはじめとしたさまざまなpopulationが混在して生活しています。それぞれ高齢化した核家族や新たな1人暮らし世帯などの文脈により、世帯同居人数は緩やかに最小単位に向かっています(図1)。地域のつながりは疎であるように見えながらも、その歴史に触れ、共通の特性や目的を持った個々人が網の目のようにつながっている現象を発見する日々の臨床は面白く、これらは大都市の地域医療の醍醐味です。
医学部の卒前教育においては、2022年の「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の改訂に伴い、病気が人々の生活に及ぼす影響、人の言動と生活史・社会関係、経済的側面や制度的側面をふまえた医療現場の実践など、行動医学や健康の社会的決定要因に関する内容がより重視されるようになりました。同様に卒後教育でも、初期研修医や総合診療専攻医、家庭医療専門研修生に対し、地域医療活動を通して多様な人々の健康について考える機会を提供する必要があります。
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