#総合診療
#書評:内科医の私と患者さんの物語—血液診療のサイエンスとアート
山中 克郎
1
1福島県立医大会津医療センター・総合内科学
pp.909
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203288
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
最近注目されている能力の1に「ソフトスキル」がある。常識として必要であることがわかっているが、点数化することが難しいスキルのことである。コミュニケーション力やチームワーク、失敗から立ち直る力、批判的な思考、ユーモアのセンスが含まれる。経済が目まぐるしく変化する現代において、よい仕事をするためには必須のスキルと言われている。医療従事者にも必要なこれらのスキルを、どう磨けばよいか? それを本書から学ぶことができる。長く豊富な臨床経験があり、真摯に患者さん1人ひとりと向き合ってきた岡田定先生にしか書けない、患者さんと紡いだ心温まる物語集だ。
本書のサブタイトルは「血液診療のサイエンスとアート」である。世界中の多くの医師に敬愛されている、カナダ生まれの内科医ウィリアム・オスラー(1849-1919)は、「医療はサイエンスに基づいたアートである」という言葉を残した。医学は真理を追求する「科学(サイエンス)」であるが、それだけでは不十分なのだ。発熱した子どもを優しく見守る母親のような「慈しみ(アート)」が必要である。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.