特集 “賢い処方”と“ナゾ処方”
【ケース別“賢い処方”と“ナゾ処方”】
使ってはいけない!抗菌薬,なくてもよいのではないか?という抗菌薬—「処方を憎んでクスリを憎まず」
忽那 賢志
1
1国立国際医療研究センター 国際感染症センター,国際診療部
キーワード:
抗菌薬
,
DU処方
Keyword:
抗菌薬
,
DU処方
pp.478-480
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200560
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
あるあるナゾ処方Case
抗菌薬の不適切処方による死亡例
患者:30歳台,男性.
現病歴:3週間前から,鼻汁・咽頭痛が出現した.その翌日から咽頭痛が増強し,咳嗽も伴うようになってきた.職場の上司から「クラビットⓇという抗菌薬がよく効くから,もらってこい」とアドバイスされ,近医を受診した.近医では,「最近は,クラビットⓇよりいい薬があるから」と言われ,ジェニナックⓇを1週間分処方された.ジェニナックⓇを内服している間に,鼻汁・咽頭痛・咳嗽は改善した.
ところが,1週間前から発熱と腹痛・下痢(1日10回以上の水様便)が出現するようになり,再び近医を受診した.簡単な問診のうえ,「もっとよく効く抗菌薬があるから,今度はこっちにしてみよう」と言われ,オラペネムⓇを処方された.その後も発熱と腹痛・下痢は続いたが,年度末のため仕事をどうしても休めず受診できなかった.職場に出勤してこないため上司が自宅に様子を見にいくと,患者は布団の中で死亡していた.
剖検が行われたところ,死因はクロストリジウム-ディフィシル感染症(Clostridium difficile infection:CDI)による巨大中毒結腸症と麻痺性イレウスであった.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.