特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 2
【System 1─電光石火の感染症snap diagnosis編❹】
頭が痛くてウロウロしてしまう……
矢吹 拓
1
1栃木医療センター 内科
キーワード:
髄膜炎尿閉症候群(MRS)
,
Elsberg症候群
,
尿閉
Keyword:
髄膜炎尿閉症候群(MRS)
,
Elsberg症候群
,
尿閉
pp.923-925
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200359
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Case
無菌性髄膜炎に尿閉を合併した一例
患者:41歳,男性. 既往歴:特になし.
現病歴:受診1週間前から,徐々に頭痛と倦怠感,38℃台の発熱が出現した.近医を受診したところ,感冒の診断でアセトアミノフェンを処方され帰宅.その後,頭痛は徐々に増悪し,食欲も低下.38〜39℃台の発熱も持続したため当院を受診された.
受診時,体温 37.9℃,血圧103/71mmHg,脈拍数107回/分.意識清明.身体所見では,下腹部の膨隆と圧痛を認めた.jolt accentuationは陽性だったが,その他の神経学的異常所見を認めなかった.
下腹部膨隆の原因は,尿閉であることが判明.頭痛・発熱については臨床所見から髄膜炎を疑い,髄液検査を施行したところ,単核球有意の細胞数増多を認め,無菌性髄膜炎と考えた.髄液グラム染色・培養含めた各種微生物学的検査では特に異常所見なく,尿閉を合併していることから,「髄膜炎尿閉症候群」と診断した.保存的加療で発熱・頭痛・尿閉ともに改善し,神経学的にも後遺症を残さず軽快退院された.
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