「なんで俺はここにいるんだ？」と繰り返す男性

Case : 診断は何か？

患者：60歳，男性．

主訴：様子がおかしい．

既往歴：特記すべき既往歴なし．

現病歴および身体所見：受診当日，妻が仕事に送り出すまではいつも通りの様子であった．仕事から帰宅したのち，不安な様子で繰り返し「なんで俺はここにいるのか？　何をしているのか？」と妻に尋ねていた．“様子がおかしい”と思った妻が，本人を連れて救急外来へ．受診時，患者のバイタルサインに問題はなかったが，とても不安な様子であった．繰り返し「なぜ俺はここにいるのか？　あなたは誰なのか？」と医師に尋ねていた．受診前日の夕方に，友人と出会ったことまでは覚えているが，その後の記憶がはっきりしなかった．それ以外に神経学的所見には問題がなかった．

　このようなエピソードの経験は，患者にとって初めてである．