Dr.徳田と学ぶ 病歴と診察によるエビデンス内科診断・8
咽頭痛 ─Centorスコアを乗り越えろ!
徳田 安春
1
1地域医療機能推進機構(JCHO)本部
pp.388-392
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200197
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徳田:皆さん,こんにちは.この連載では,臨床疫学を用いた診断プロセスを学んでいきます.症例に基づきながら,レジデントの皆さんとの対話形式で進めていきます.
今回は咽頭痛を主訴とする患者の症例です.咽頭痛は頻度の高い症状で,60〜80%はウイルス性の上気道炎ですが,時々,細菌感染症の場合もあります.以前は,A群連鎖球菌感染で急性リウマチ熱を合併するケースが多く,そのためにCentorスコア1)などの臨床予測モデルによる「A群連鎖球菌感染」の臨床診断が重要視されていました(図1).
ただし,最近の日本では急性リウマチ熱はほとんどみられなくなり,一方,C,B,G,F群(この順で頻度が高い)の連鎖球菌感染による咽頭炎や嫌気性菌の混合感染が,化膿性合併症を引き起こすものとして重視されてきています(表1).これらはキラー咽頭痛(killer sore throats)とも呼ばれています.
ということで,最近では,細菌性咽頭炎に対して抗菌薬を投与する意義は,化膿性合併症を予防するということも含まれてきています.では,今回のケースの病歴と身体所見をみてみましょう.病歴と診察に加えて,臨床予測スコアの診断の正確度も検討していきます.
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