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編集後記
梛野 正人
pp.768
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100508
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内科の先生方はあまり(ほとんど?)ご存知ないかも知れませんが,National Clinical Database(NCD)というプロジェクトが動き出しましたので,この編集後記の場をお借りして少し述べさせていただきます.NCDは,日本全国で行われている外科手術に関する情報を登録し,それを集計・分析することで外科系の医療の質を向上させ,患者さんに最善の医療を提供することを目指す,いわば“国家的大プロジェクト”です.症例の登録はインターネットを使って行い,2011年1月1日から本登録が開始されました.当初は作動が遅いなど種々の問題があり,細かいものまで数えれば膨大なクレームが寄せられました.しかし,登録開始から10か月ほど経過した現在では,概ね順調に登録作業が行われるようになってきました.
本邦にはこれまで手術に関して全国を網羅するような基礎的データベースはなく,それゆえ,医療水準の施設間比較,外科医の適正配置,外科専門医制度といった問題を客観的に議論することが不可能でした.NCDでは,日本全国の約9,500の病院施設のうち,およそ2,000~3,000施設が対象となり,年間約100万件の手術症例の登録が見込まれています.NCDは今後も種々のブラッシュアップが必要ですが,画期的な試みであり,この制度により本邦の外科医療がより正しい方向に進むことを期待しています.
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