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編集後記
山雄 健次
pp.362
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100167
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桜満開の4月の初めに,生まれて初めての“編集後記”なるものを書かせていただいている.年度末には何人かの熱心なレジデントが地元に帰り寂しい思いをしていたが,それにも負けず劣らず熱き情熱をたぎらせた先生方を新たに迎え入れることができ,徐々に“今年もやるぞ”という気分が沸々とわいてきた.“編集後記”が,正に今年度の初仕事である.
さて,今回の特集は「肝門部胆管癌に対する術前胆道ドレナージ」である.個人的な話で恐縮ではあるが,「胆膵を専門とする内科医である」私は従来から肝内胆管癌の話題だけは避けて通りたいと願ってきた.その大きな理由は,私の同級生である神谷順一先生が作成した肝内胆管の区域・亜区域解剖なる簡易図譜(実はいつも胸ポケットに忍ばせている)を見ても,なかなか理解できない肝内胆管の1本1本の枝のせいでもあり,また“どこをどこまで切るのであるからどこを減圧する”,“切除不能症例に対する姑息的減黄処置というのであれば,いかなる理由で切除不能となったか”〔消化器画像1999;1(2)〕と耳の奥から聞こえる二村雄次先生(現愛知県がんセンター総長)の厳しきお言葉のせいでもあった.各肝切除術式固有の「胆管分離限界点」を胆管造影上ピンポイントで同定する能力が要求される〔近藤哲.消化器画像2004;6(3)〕といわれても手術もしない私には困るというのが実感であった.
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