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編集後記
山雄 健次
pp.546
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100628
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本号の特集テーマは「十二指腸主乳頭と副乳頭の病態に迫る」である.主乳頭と副乳頭の解剖,発生,副乳頭の臨床的意義,さらには乳頭部に発生する形態的,機能的異常に基づく疾患のすべてともいえる要素が9つの論文に纏められ,詳細に解説されている.
さて,肝胆膵分野の臨床や研究を目指す者にとって“乳頭部”は非常に興味深い部位でもあるが,取り扱いが非常に難解で厄介な場所でもある.粗野に取り扱うと重症膵炎にだってなる.筆者が胆膵を診療の主なテーマと決めた1970年後半に(主)乳頭部を見る手段は,今と比べ物にならない薄暗い十二指腸ファイバースコープであり,低緊張性十二指腸造影であった.当時,不慣れな者にとってはERCP施行時に乳頭を探すのに1時間以上要したことは稀ではなく,また後者のそれ専用に調整したバリウムで乳頭を正面視し,縦・横ひだ,小帯,開口部隆起を細部まで描出すると“神業”と言われたものである.
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