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■はじめに
超音波内視鏡下穿刺術は,1991年Vilmannらにより初めて報告され1),以後消化管粘膜下あるいは消化管周辺組織の病理診断に使用されてきている.本邦でも,本連載に執筆された先生方が各学会等でご発表されることにより,徐々にその臨床的有用性が認識され始め,普及しつつある.ラジアル走査型EUSの超音波画像では穿刺針の観察が困難であるが,コンベックス型のEUS装置を用いた場合,超音波画像内に穿刺針をリアルタイムに観察しながら目的の組織に到達できる.穿刺針が超音波画像で観察可能となったことにより,消化管外の組織採取にのみならず,治療にも応用されるようになり,EUSガイド下穿刺を用いた診断および治療がInterventional EUSと呼ばれるようになってきている.本連載は第6回目となるため,今回はEUSガイド下組織採取法に加えて,治療についてもその適応,標準的方法および筆者の施設における経験を基にしたコツを紹介する2~18).治療としては,薬液を注入するEUS guided fine needle injection therapy(EUS-FNI)と膵仮性囊胞等に対するEUS guided drainage therapy(EUS-Drainage)に大別される.EUS-FNIでは,癌性疼痛に対して腹腔神経叢にエタノールを注入する腹腔神経叢ブロック術10,11),膵癌に樹状細胞等の抗腫瘍効果を有する薬液を注入する治療12)等が挙げられる.また,EUS-Drainageは,膵仮性囊胞に対する治療法13)として始まったが,最近では胆管あるいは膵管を直接穿刺しドレナージを行う胆管十二指腸吻合術14~16),膵胃吻合術17,18)まで応用されてきている.当科は2007年10月までに23例の癌性疼痛に対して腹腔神経叢ブロック術,19例にEUS-Drainage術を行っている(表1)が,その治療成績向上のために行っている工夫を述べる.
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