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編集後記
神澤 輝実
pp.310
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100590
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今年は,例年にない暖かい冬になり,桜の開花も早まるかと思う矢先に,北陸から東北地方は大豪雪に見舞われ,関東地方は真冬に逆戻りしました.地球温暖化現象によるものなのか,近年の異常気象には驚かされるものがあります.
さて,今回は特集として“粘液産生胆管腫瘍”を取り上げました.粘液産生膵腫瘍という新しい疾患概念が日本から報告されて25年になります.その後,本邦における多数例の詳細な検討から,粘液産生膵腫瘍は,囊胞の形態や卵巣様間質の有無などにより,膵管内乳頭腫瘍(IPMN)と膵粘液性囊胞腫瘍(MCN)に分類されました.粘液産生胆管腫瘍は,粘液産生膵腫瘍よりは,はるかに稀な腫瘍ですが,多量な粘液を産生する胆管腫瘍として近年注目されつつあります.粘液産生胆管腫瘍を粘液産生膵腫瘍のカウンターパートとして考え,胆管内乳頭腫瘍(胆管IPN)や胆管囊胞性腫瘍(胆管MCN)などの新しい疾患概念も提唱されています.本邦における粘液産生膵腫瘍の解析の経験を生かして,今後この疾患の解明が期待されます.この疾患の希少性ゆえ,その発展は,読者をはじめとする多くの医師のこの疾患に対する関心が必要であると考えます.皆で協力して,この新しい疾患概念を明白にしていきましょう.
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