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■はじめに
筆者がハンブルク大学内視鏡科(主任教授:Nib Soehendra氏)のもとに留学したのは2000年である.目的は,日本と欧米での内視鏡医療における“価値観”の違いを学ぶことであった.自分の専門は胆膵内視鏡分野であるので,特にERCP分野における「何か」を学んで帰ろうと考えて留学したが,そこで今回の連載のテーマであるEUS-FNA(Endoscopic Ultrasound Guided Fine Needle Aspiration)と出会うことになった.留学前には不勉強で,EUS-FNAという言葉は知っていたが,それが欧米においてどのくらい重要視されているのか,ということも知らなかったし,そもそも留学先であるハンブルク大学がその最先端をゆく施設であることすら知らずに留学したのである.ちなみに留学資金をいただいた上原記念財団リサーチフェローシップに応募した際の研究テーマは「経口胆囊鏡による早期胆囊癌の診断と治療」であった.
帰国後(2001年春)の「第61回日本消化器内視鏡学会総会」のビデオシンポジウムII「超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS FNA)の診断と治療―その現状と展望」で発表させていただいたが,司会の山中桓夫先生,山雄健次先生が,「今回のシンポジウムの演題は7題です.これが応募いただいたすべてです.EUS-FNAをテーマにしたシンポジウムで,こんなに応募が少ないことは欧米の学会ではあり得ません」と言われたのが印象的であった.その後本邦でも,この連載の第1回で山雄健次先生が挙げられた種々の理由1)により,EUS-FNAはしだいに普及の兆しが見えてきているが,まだまだ一般的な手技になっているとは言い難い状況である.
本稿では,ハンブルク大学で学んだことを交えながら,筆者の施設における適応と禁忌,手技,成績向上のコツなどについて紹介する.
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