今月の主題 めまいの臨床
めまい・平衡障害の診断
脳血管造影検査,CT検査
古瀬 信
1
,
国技 悦夫
2
1自治医科大学・放射線科
2済生会宇都宮病院放射線科
pp.2592-2594
発行日 1985年12月10日
Published Date 1985/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220132
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脳血管造影検査
脳幹,小脳半球,虫部,内耳道などの血流は椎骨-脳底動脈系によって支配されているが,血管造影によりこれらの血管系を描出して,めまいや平衡障害の原因が解明されることは頻度としてあまり多いものではない.椎骨-脳底動脈系の解剖にも多くのvariationがあるため,一側の椎骨動脈が閉塞していても側副路が発達して明らかな症状が現れない場合も多い.しかし,優位である太い方の椎骨動脈がC1-C2levelで,首の回転時に圧排され,血流障害を来たし,検査中に失神した例も経験している.そのほか,椎骨動脈,後下小脳動脈(PICA)の動脈硬化性狭窄によるWallenberg症候群なども,しばしば血管造影の対象となる.一般的に0.5mm以下の血管の閉塞性変化は血管造影では描出できない.
CT検査が普及されて以来,腫瘍や炎症などの診断に血管造影が偉力を発揮することもほとんどなくなった.腫瘍の摘出前に血管系の解剖を描出し,支配血管や周囲血管の走行や蛇行の有無を確認したり,血管増性の有無などをあらかじめ知る目的で,血管造影検査が行われるのが一般的である.まれに,蛇行した血管や動脈瘤が聴神経鞘腫と誤診されることもあり,中耳腔にstapedial arteryなどの残遺例も報告されていることを考えると,全く必要のない検査と無視することもできない.
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