連載 スーパー臨床神経病理カンファレンス・9
高血圧症,脳梗塞,および認知症の既往歴を有し,脳出血による昏睡状態で発見されてから32時間後に死亡した79歳男性
宮田 元
1
,
師井 淳太
2
,
木下 俊文
3
1秋田県立循環器・脳脊髄センター 研究所脳血管研究センター 脳神経病理学研究部
2秋田県立循環器・脳脊髄センター 研究所脳血管研究センター 脳神経外科学研究部
3秋田県立循環器・脳脊髄センター 研究所脳血管研究センター 放射線医学研究部
キーワード:
脳出血
,
頭蓋内圧亢進
,
脳アミロイド血管症
,
高血圧性血管症
,
アルツハイマー病
Keyword:
脳出血
,
頭蓋内圧亢進
,
脳アミロイド血管症
,
高血圧性血管症
,
アルツハイマー病
pp.1171-1181
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202753
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〔現病歴〕48歳時より高血圧症で内服加療していた。65歳時にアテローム血栓性脳梗塞(左中心前回を含む左前頭葉)を発症し,ワルファリン内服を開始。このとき,頸部MRAで左内頸動脈起始部に中等度狭窄(50%程度)と同部のプラーク内出血を示す信号上昇が認められ,頸動脈超音波検査で左総頸動脈に不安定プラークが描出されていた。また,頭部MRAで右内頸動脈-後交通動脈分岐部に未破裂囊状動脈瘤が発見された。
75歳時(脳出血発症4年2カ月前)に未破裂脳動脈瘤の経過観察で撮像された頭部MRIでは明らかな脳萎縮はなく,微小出血も検出されなかった(Fig. 1)。78歳時に見当識障害と記銘力障害(改訂長谷川式簡易認知評価スケール7/30点,Mini Mental State Examination 10/30点,時計描画テスト1/5点など)が明らかとなった。79歳時(脳出血発症5カ月前)のMRIでは側頭葉萎縮が認められ,両側小脳半球と右後頭葉皮質に無症候性微小出血も認められた(Fig. 1)。以上の経過から,脳梗塞後遺症を背景にアルツハイマー病の症状が顕在化したものと考えられていた。MRAでは脳動脈瘤に拡大傾向は認められなかった。
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