書評
はじめての漢方診療 十五話[WEB動画付] 第2版/はじめての漢方診療ノート 第2版—三潴忠道【著】
田原 英一
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1飯塚病院東洋医学センター漢方診療科
pp.716
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202102
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三潴忠道先生は2021年,コロナ禍で延期された日本東洋医学会の会頭も務められ,大変お忙しい最中,名著『はじめての漢方診療十五話』の第2版を出版された。本書は漢方診療の基礎を学ぶのに最適もしくは最高の1冊である。その2つの理由は,三潴先生の臨床を余すところなく公開し,いわば三潴漢方という太い柱に沿って,漢方診療が語られている点にある。
その基本はいわゆる古方に属しながら,一方で現代の疾病構造を見据えた柔軟な診療体系を公開している。一般に西洋医学のみを学んだ者にとって,漢方の概念,臨床は難解で,1冊の本を読んだくらいでは,なかなか身に付かないであろう。漢方の手引き書として,多くの著者による,さまざまな意見や考え方が錯綜するものや,単一著者ではあるが,公開されている情報が簡素過ぎて物足りないものを手に取ったことがあるが,本書は簡単すぎず,難しすぎず,それでいて骨のあるブレない1冊である。
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