New Books
〈総合診療ブックス〉はじめての漢方診療 十五話[DVD付き]
山口 哲生
1
1JR東京総合病院呼吸器内科
pp.934
発行日 2005年11月15日
Published Date 2005/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100560
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
親友の三潴忠道先生がすばらしい漢方の解説書を書いてくれた.
実に読みやすい本だ.漢方の解説書というと,陰陽虚実の証の話からはじまって西洋医学だけをやっているものにはなかなかとっつきづらいものや,症状別・病名別に使える漢方薬を羅列して説明してあるものが多かったが,この本には漢方の考え方と具体的な使い方,診察の仕方が実にわかりやすく書かれてある.読みはじめると,まず入り口としての簡単な解説がある.それからすぐに「これが漢方診療の実際だ」と,どのような患者にどのように使うのかが著効例をあげながら具体的に書かれてある.いかにも患者さんを大切にする三潴先生らしい切り口だ.それから漢方の考え方の話,診察の仕方と進んでくるが,べったりとすみからすみまで解説しようというよりは,白い紙に墨汁を落とすように,大切なところに焦点を当てながら,じわじわと話をひろげていく.白い頭で読み進むうちに,いつしか墨汁の広がった部分の面積が多くなり,まとまった知識となってくるのを感じることができる.そんな本である.陰陽虚実の考え方はくり返し書いてあり,そのイメージがつかめたら,あとは本のどこからでも墨汁の一点として読み出すことができる.だから読み飽きない.重要な気血水の解説がうしろにまわっていてもそこだけ読むことができるし,大切な解説は繰り返しているのもよい.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.