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書評 「ENGアトラス めまい・平衡機能障害診断のために」—小松崎 篤【著】
水澤 英洋
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1国立精神・神経医療研究センター
pp.240
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200987
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このたび,医学書院から待望の『ENGアトラス』が出版された。ENG(electronystagmograhy,電気眼振計)とは言うまでもなく,眼振を含む眼球運動の電気的な記録・検査のことである。眼振や眼球運動の異常はめまいや平衡障害時に多く出現し,病変部位や原因疾患を同定する上で極めて有用であるが,その診察所見を客観的かつ定量的に記録し,分析や比較を可能としてくれるのがENGである。めまいや平衡障害を扱う耳鼻咽喉科,特に神経耳科,神経内科,脳神経外科などにおいては必須の検査である。ENGは基本的に両眼の上下,左右に付けた電極で両側の眼球の上下,左右の動きの速度,加速度,振幅が表示される。
著者の小松崎篤先生は日本耳鼻咽喉科学会理事長も歴任された斯界の大家であるが,特に神経耳科学の領域では世界を代表する第一人者であり,PPRF(paramedian pontine reticular formation)の発見,OKP(opkinetic pattern test)の開発などその業績は枚挙に暇がない。この『ENGアトラス』は700件もの図のほとんどが自験例という,まさに小松崎先生ならではの快挙といえる。
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