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連載 神経学を作った100冊(100)【最終回】
豊倉康夫『神経内科学書』(1987)
One Hundred Books which Built up Neurology (100)-Yasuo Toyokura (ed): "Shinkei-Naikagaku-Sho" (1987)
作田 学
1
Manabu Sakuta
1
1日本赤十字社医療センター神経内科
1Department of Neurology, Japanese Red Cross Medical Center
pp.534-535
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200172
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豊倉康夫(1923-2003)は日本の神経病学者である(Fig.)。1923年4月30日に熊本県で生まれた。出水幼稚園,出水尋常小学校,旧制熊本県立熊本中学校,旧制第五高等学校理科乙類,東京帝国大学医学部と進んだが,中学校の頃から,秀才の誉れが高かった。これは筆者も直接聞いたところだが,小学校当時,「昼の弁当の時間になるといなくなり,運動場で水を飲んでいる旧友が2人いた。そのことを話すと,母は次の日に弁当の他に大きなおにぎりを2つ持たせてくれた。運動場で2人におにぎりを渡すと『そんなもんは要らん』と言ったが,そこに置いたおにぎりは下校時になくなっていた。それを母に話すといかにも満足そうな顔をした」という。
このような優しい母親と厳格な父親に育てられて,優しくスマートで颯爽とした学生に育っていった。旧制高校ではドイツ文学に原書で親しみ,リルケ(Rainer Maria Rilke;1875-1926)の文体が最も美しく詩的な雰囲気を漂わせていると友人に語っていた1)。
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