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はじめに
日本の高齢者人口は増加の一途をたどり,認知症高齢者の数も増えている。2005年には約169万人が認知症であるとされ,2015年には250万人になると推定されている。高齢者の調査において認知機能は重要な情報であり,地域住民における認知症の把握や,大規模な疫学調査,早期発見,治療,予防や介入には簡便で有効な認知機能スクリーニングが不可欠である。
Mini-Mental State Examination(MMSE)はスクリーニング検査として広く普及し,わが国でも汎用されている1)が,これは面接で行わなければならず,視覚障害者や文字が書けない人には施行できない。The Telephone Interview for Cognitive Status(TICS)は電話で行うように開発された認知機能検査である2)。これは面接で認知機能スクリーニングができない場合や実際的でない場合,すなわち大規模のスクリーニングや疫学的調査,患者が診療施設に来られないときにも使用可能である。視覚を必要としないので,視覚障害者にも適応があり3),読み書きを必要としないので,識字障害者にも使える。
TICSは1988年,MMSEを元にしてBrandtらによって開発され,名前,時間および場所の見当識,数字の逆唱,10単語の即時再生,引き算の7シリーズ,言葉で表現される名詞,文章の反復,近時記憶,実技,反対語の11項目からなっている。このうち,時間の見当識,引き算の7シリーズはMMSEと同一であり,場所の見当識と文章の反復は一部共通である。TICSはMMSEとよく相関し,再現性にすぐれ,認知障害を感知する感受性と特異性も十分であるとされ,米国を始め多くの国で,一般的に使用されている。そこでわれわれは,電話による認知機能検査が日本で受け入れられ,有用であるかを調べることが重要であると考え,TICSを日本語に翻訳し,日本語版を作成し(TICS-J),日本における有用性を検討したので報告する。
Abstract
In recent years, population of elder people has increased in Japan, following augmentation of the number of people with dementia in Japan. Then it is important to detect cognitive impairment in early stage for adequate treatment, care and prevention. We studied 135 subjects, 49 patients with Alzheimer's disease (AD) and 86 healthy controls using Telephone Interview for Cognitive Status (TICS), and developing Japanese version of the TICS (TICS-J). The sensitivity and the specificity of the TICS-J to differentiate AD patients from healthy controls was 98.0% and 90.7%, respectively. Pearson's correlation coefficiency between the TICS-J and Mini-Mental State Examination (MMSE)was 0.858 (p<0.001). On the receiver operating curves, the area under the curve for the TICS-J was 98.7% (95% CI:97.5%-100%). These results indicate that TICS-J is sensitive and specific instrument for differentiating AD patients from healthy controls.
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