海外文献紹介
胃バイパス術後の脂肪細胞への長期効果—減量手術により脂肪細胞がスーパーノーマルに変わる
細井 雅之
1
,
薬師寺 洋介
1
,
上野 宏樹
1
1大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター 糖尿病内科
pp.354-357
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200659
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肥満2型糖尿病が減量手術により効率よく治療され,予防できることが示されています.長期術後に再発し体重が戻る方が確かにいますが,2型糖尿病は改善や予防されていることも知られています.この事実は,BMIの変化とは無関係な因子が防御的に働いていると思われます.なかでも,白色脂肪組織(WAT)が重要だと考えられています.WAT特異的なフェノタイプ,脂肪細胞の大きさや数,WAT炎症,脂肪細胞の脂肪分解,パラクリン/エンドクリン蛋白の分泌が,インスリン感受性や2型糖尿病と密接に関連すると考えられています.
今回紹介する論文では,減量手術後の2型糖尿病予防効果へのWATの4つの機能(形態,炎症,アディポカイン分泌,脂肪分解)の関与を調べました.アディポカインはエネルギー消費,ブドウ糖代謝,インスリン感受性に影響を与えます.アディポネクチンはWATによって最も大量に分泌される蛋白であり,他のアディポカインと異なり,肥満,2型糖尿病,インスリン抵抗性とは負の相関があります.
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