Perspective◆展望
Unmet Medical Needsとしての低血糖
𠮷岡 成人
1
1NTT東日本札幌病院 糖尿病内分泌内科
pp.95
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200599
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私が大学で講義を受けた頃の糖尿病は,「診断基準としての空腹時血糖値は140 mg/dL以上,小児糖尿病,成人糖尿病という2つのタイプに大別され,日本人の糖尿病人口は150〜200万人程度……」という病気でした.糖尿病の治療薬としてはSU薬しかなく,どのように使い分けるかが重要であり,インスリンはウシやブタの製剤で,国家試験の問題集には,昭和50年代前半における糖尿病ケトアシドーシスのインスリン治療として「速効型インスリンを50単位皮下注し,50単位静脈内投与する」という選択肢が正解となっていました.
しかし,糖尿病網膜症の出現という誰もが納得する糖尿病の臨床像をもとに空腹時血糖値7.0mmol/L(126mg/dL)という診断基準が策定され,糖尿病の病型も1型,2型と大別されました.糖尿病の患者数も増加し,1,000万人に届く勢いです.多くの薬剤が登場し,インスリンはアナログ製剤の独壇場となり,GLP-1受容体作動薬も広く使用されつつあります.著しい高血糖への対応として,インスリンの持続点滴を行うことは学生の間でも常識となっています.
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