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Introduction to Diabetic Patient Management●糖尿病医療学入門 第12回
患者がどう考えているかが糖尿病治療行動を決める―行動の心理的(内的)要因3:感情に焦点を当てる
Focusing on the emotion
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌内科
pp.653-659
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100889
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論理的でない行動,正しい考え方に基づかない行動が糖尿病患者にみられる.その中には望ましい療養行動の欠如や不足もあれば,過剰な反応もある.それらは場合によっては有益なこともあるが,場合によっては自己破壊的ですらある.人にそのような非合理的な行動を取らせるものは何か? それが感情である.感情はもしかすると論理よりも強い力で人を動かすのかもしれない.
【症例12-1】30歳代女性;1型糖尿病「インスリン注射をしようとすると涙が出る」
罹病歴5年.インスリン頻回注射療法を行っているがHbA1C9.5%とコントロール不良で入院.療養の実行度について質問すると,インスリン注射を指示された回数だけ行っていないことがわかった.理由を尋ねたところすぐには答えず,「何となく嫌」というような態度であった.ある日,注射器を前に置いてベッドサイドでじっとうな垂れているところに出会った.待っていると,「インスリンを注射しようとするたびに,私は糖尿病になってしまったんだということを思い返させられる.そうすると涙が出る.どうして私はこんな病気になったんだろう」と語る.
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