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特集 高齢者糖尿病にどう向き合うか―Balanced overview
高齢者2型糖尿病の血圧コントロール
Blood pressure control for type 2 diabetes mellitus in the elderly
中橋 毅
1
,
森本 茂人
1
1金沢医科大学高齢医学科
キーワード:
①高齢者高血圧
,
②血圧動揺性
,
③治療ガイドライン
,
④起立性低血圧
,
⑤臓器保護作用
Keyword:
①高齢者高血圧
,
②血圧動揺性
,
③治療ガイドライン
,
④起立性低血圧
,
⑤臓器保護作用
pp.487-492
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100707
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糖尿病合併高齢高血圧患者には慎重で厳格な血圧コントロールが求められる.
高血圧を合併する高齢者糖尿病にはどのような特徴があるのでしょうか
糖尿病と高血圧の合併頻度が高いことは知られているが,加齢とともに収縮期血圧が上昇することから高齢者においては,さらに合併頻度は高くなる.しかも高血圧に糖尿病が合併した場合には脳・心血管疾患発症リスクが上昇することから,高血圧患者のリスクとしては高血圧の程度にかかわらず自動的に高リスク群に分類される.また,高血圧を合併する高齢者糖尿病患者は,高血圧患者の特徴,糖尿病患者の特徴,高齢者の特徴(Tips 1)のすべてを併せ持つことから多角的なアセスメントが求められるばかりでなく,治療上の制限も多くなることが多い.すなわち,高血圧を合併する高齢者糖尿病患者では,すでにさまざまな臓器障害(Box 1)が進行している場合が多く,特に頻度の高い腎機能低下例では薬剤の選択や用量の制限となる場合があるほか,脳梗塞などの既往がある場合や網膜症を有する場合には,生活習慣の是正や服薬のコンプライアンスに影響が及び,心機能低下や慢性閉塞性動脈硬化症などを有する場合にはこれらが運動療法の制限となる.
また,アセスメントを行う際にも高齢者の非定型的症状を考慮する必要がある.実際の診療では,言語緩慢,食欲低下,意欲低下,異常行動といった非定型的症状が脳血流の低下症状,心不全症状,薬剤の副作用症状であったりする場合も見られ,家族からの情報を含めた注意深いアセスメントが求められる.
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