特集 浮腫からのクイックアプローチ
関連症例
靴が履けなくなった甲状腺機能亢進症の1例
湯地 雄一郎
1
,
宮田 淳
1
,
石丸 裕康
1
,
八田 和大
1
,
石橋 里江子
1
,
玄 博充
1
,
郡 義明
1
1天理よろづ相談所病院総合診療教育部
pp.322-323
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903227
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患者は49歳の女性.生来健康であったが,来院1ヵ月前から徐々に労作時呼吸困難が進行し,わずかの歩行で息切れを生じるようになった.同時期より腹部膨満が生じ,下肢の浮腫のため靴が履けなくなった.初診時は呼吸数50回/分で起坐呼吸,脈拍120回/分,整,血圧130/60mmHg,軽度眼球突出,びまん性甲状腺腫を認めた.心音は奔馬調律で,心雑音なし.両側肺野でfine crackle,下肺野で呼吸音減弱.全身に著しい浮腫があり,加えて下半身では皮膚の肥厚,硬化,褐色の色素沈着を認めた.腹壁から下肢の皮膚はごつごつと硬く,粗造で,腹部臓器の触診がほとんどできないほどであった.胸部X線写真では両側に大量の胸水を認めた.
入院後,甲状腺機能亢進症と判明し,精査の結果,バセドウ病とそれに伴ううっ血性心不全と診断した.酸素投与,利尿薬,抗甲状腺薬による治療で心不全は軽快し,2週間で約19kg体重が減少した.皮膚の硬化や色素沈着はその後の数ヵ月間で徐々に消失した.
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