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特集 神経疾患エマージェンシー
中枢神経疾患のエマージェンシー―意識障害のみかたと鑑別診断
Emergent Disorders of Central Nervous System:A practical approach to unresponsive patients
北野 邦孝
1
1北野朋友会松戸神経内科
pp.298-301
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901470
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「意識」と「意識障害」をどう理解するか?
"定義"は常に難解で,曖昧である.「意識がある」ということを"定義"すると,「自己と外界の関連を認識している状態」ということになる.例にもれず難解であってあまり深入りしたくない.むしろ,日常診療の中では逆に「意識」のあり方に問題のある状態,つまり「意識障害」は比較的漠然とではあるが次のようにとらえられるだろう.「(覚醒レベルや注意力の低下を背景として),精神・運動の興奮状態,幻覚などを呈する状態」,「患者自身が自発的にも,外界からの刺激に対しても覚醒あるいは開眼しない状態」などである.
そこで,「意識障害」の患者を目の前にして,検査や治療方針を引き出すための,神経学的でプラクティカルな「意識」の理解について考えてみよう.神経学的には,「意識」は「脳幹部+両側大脳半球」の正常な機能が支えていると考える.「意識」を支える脳幹部(J1)と「両側大脳半球」との関係は,いわばピッチャーとキャッチャーにたとえられる.「脳幹部」は覚醒のインパルス(命令の信号)を発生するジェネレーターであり,「両側大脳半球」がこの覚醒のインパルスを受け取る受け皿である.「脳幹部」が障害されると覚醒の命令が出されないので意識は障害される.「両側大脳半球」が広範に障害されると,覚醒の命令は来るが,その信号を受け取ることができないために意識が障害される(意識の内容,中味contentの障害とも考えられる,図1).
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