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特集 肥満の総合診療
合併症
脂肪の分布と合併症―予後も含めて
Fat Distribution and Complications:Including Prognosis
藤岡 滋典
1
,
松沢 佑次
2
1日本生命健康管理所
2大阪大学第二内科
pp.992-996
発行日 1993年11月15日
Published Date 1993/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901004
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■肥満は糖尿病,高脂血症,高血圧など種々の疾患を合併しやすいが,合併症の頻度や重症度は肥満度よりも肥満者の脂肪組織の体分布と密接に関連する.
■疫学的には,ウエストとヒップの比(W/H比)の大きい上半身肥満が下半身肥満に比べて合併症を来しやすく,予後も不良であることが示されている.
■CTスキャンによる分析から腹腔内脂肪の蓄積が合併症と関連することが明らかとなり,内臓脂肪型肥満は皮下脂肪型肥満に比し,糖,脂質代謝異常や循環器障害を高率に合併する.
■非肥満者においても内臓脂肪の蓄積が種々の代謝異常や高血圧とともに冠動脈疾患とも密接に関連し,内臓脂肪症候群(内臓脂肪蓄積,耐糖能異常,高脂血症,高血圧)は動脈硬化易発症病態として極めて重要な意義を有する.
■内臓脂肪蓄積による合併症発症機序としては,門脈血中遊離脂肪酸の上昇を介するインスリン抵抗性(→糖代謝異常,高血圧),VLDL合成増加などが考えられている.
■内臓脂肪の蓄積機序については,性ホルモン,遺伝因子,環境因子(高蔗糖食や運動不足)などの関与が報告されている.
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