ミニテクニック
生活様式に応じた投薬時間の設定
東 道夫
1
1東病院
pp.712
発行日 1993年8月15日
Published Date 1993/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900921
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当地のような田舎では,起床してから野良仕事などをして,朝食までの時間が非常に長い人や,夕食が非常に遅く,夕食後に入浴してすぐ就寝するような人もいる.もしも漫然と服薬時間を食後と指定すれば,朝食が遅い患者は起床後の血圧の上昇を防げない.また1日2回服用の薬の場合,夕食の遅い患者では,一般に血圧をあまり下げる必要のない夜間に過度の降圧を招く結果となる.これは結果的に脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めることになりかねない.必ずその患者の日常生活のリズムを把握して,実情にあった服薬時間を設定するようにしている.例えば1日1回起床直後とか,起床直後と夕方の4時の2回とか指示している(理由さえ説明すれば多少面倒でも患者は納得してくれる).
臓器障害を伴う高血圧では血圧管理にも細心の注意が必要である.腎硬化症を伴う高血圧の患者で,午前中にのみ来院していてコントロール良好と判断していたが,始めて夕方に来院したら拡張期圧が130mmHgもある.もう一度夕方来院させたがやはり高い.午前中は降圧剤がよく効いて安定していたが,夕方には朝服用したニフェジピン20mgのlong acting製剤の効果が切れていると判断されたため,夕方の服薬時間を3時ころに設定することで,ある程度コントロールが得られた.随時血圧のみでコントロールする場合は,いつも同じ時間ではなく,時々は来院時間を変更してみることも大切である.
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