特集 プロの技としての身体診察
【プロが見落とさないsign】
Hoover's sign
谷本 普一
1
1谷本内科クリニック
pp.224
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101647
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Hoover's sign とは
Hoover's sign とは,閉塞性肺疾患でしばしば認められる胸郭下部のひきこみ(陥凹)現象である.閉塞性肺疾患では,吸気時に横隔膜が下降し平らになるが,同時に胸郭下部の肋骨が内側へ移動するひきこみが生じる.これが,1920年Hoover1)がそれまでの研究をまとめ報告したもので,以後Hoover's sign と呼ばれている.
吸気で最も重要な吸気筋は横隔膜と外側肋間筋である.横隔膜の移動は第2,3腰椎と腰椎下部の6本の肋骨の上縁,剣状突起で起こる.吸気時の横隔膜と下部肋間筋の錯誤的な動きに注目したHooverの炯眼に驚くばかりである.
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