特集 不整脈診療ステップアップ
【日常診療で遭遇する疑問】
上室性頻拍の治療
丸井 伸行
1
1中部ろうさい病院救急部・一般内科
キーワード:
ATP
,
ACLS
,
アデノシン
Keyword:
ATP
,
ACLS
,
アデノシン
pp.754-758
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101505
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Case
突然の動悸を主訴に救急外来を受診した1例
患者:56歳,女性.
既往歴・家族歴:特記すべきことなし.
現病歴:自宅にて安静にしていたところ,突然動悸が出現し,停止しないため2時間後に来院.胸痛,呼吸苦の訴えはない.
身体所見:心拍数163/分 整,血圧106/75 mmHg,呼吸数16/分,SpO2 98%(room air),意識清明.頸静脈怒張なし.胸部に特記すべき所見を認めず.
治療:ATP(アデホス-Lコーワ®(R))10mgを急速静注して,生理食塩水20mlでフラッシュし頻拍発作は停止した(図1).帰宅に際しては,もし頻脈が再発したら自宅でまずバルサルバ法を試みて,それでも停止しない場合は頓用内服としてベラパミル(ワソラン®(R))を処方した.今後の方針は専門外来へ受診いただくように説明した.
ポイント:とくに既往がなく心血管系のリスクのない患者でも,初診時は頻脈以外のバイタルサインが安定し,頻脈によって不安定な症状(意識障害,狭心症,血圧低下など)を呈していないことを確認します.ATPを使用する時は,喘息の既往と内服薬の有無を確認することが重要です.ATPだけで停止した場合にも,帰宅後に再度発作を起こした時の指示を忘れずに伝えましょう.
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