EBM時代の生薬・方剤の使い方 [第3回・方剤編]
釣藤散
寺澤 捷年
1
1富山医科薬科大学
pp.255-258
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101125
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釣藤散は『本事方』収載の方剤で,原典には「肝厥頭暈を治し,頭目を清める」と記載されている.このことから,頭痛やめまいなどの改善を目的に諸種の疾患に用いられてきた.また,近年の社会の高齢化に伴い,原典の条文の応用として脳血管障害や高血圧症に広く用いられている方剤である.表1に本方剤の臨床研究に関する論文を示した.本稿ではその一部を紹介し,臨床の場での釣藤散のEBMついて述べる.
高血圧症
永田ら1)は,釣藤散の高血圧症に及ぼす効果を,多施設における本態性高血圧患者(年齢30~74歳,平均52.6歳)72例について行った.対象患者は収縮期血圧160 mmHg以上かつ拡張期血圧90 mmHgで,WHOの「高血圧病期分類」(1978)の第Ⅰ期,第Ⅱ期,および重篤な臓器障害のない第Ⅲ期で,「東大第三内科高血圧重症度分類」(1984)による臓器重症度が2以下の症例を対象とした.薬物は釣藤散エキス製剤7.5 g/dayを4週間投与し,QOLならびに血圧に与える影響を検討した.
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